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22話-4 助けてみせます。

Penulis: 空野瑠理子
last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-17 20:00:00

渦を巻いた夜空は更にうねりを増し、魔はエルバート達に向けて黒き魂の光を稲妻のように複数振りまく。

エルバート達は瞬時に避け、

リリーシャは剣でその光を斬ってフェリシアを守る。

すると間もなくして、クランドールとディアムは祓いの力で飛び上がり、右の翼と腕、そして、左の翼と腕を剣で斬り、

エルバートもまた祓いの力で飛び上がり、魔の身体の心臓に剣を刺す。

そのまま深々と斬り込み、魔の心臓に亀裂が入る。

エルバートは渾身の力でナナメに斬り、地面に着地した。

その直後だった。

魔の身体から大量の邪気が溢れ出る。

エルバートはフェリシアに向かって必死に駆けて行く。

「フェリシア!」

「ご主人さま!」

フェリシアもまた必死に駆け、手を伸ばし、エルバートも手を伸ばした瞬間、魔の邪気に呑み込まれた。

* * *

ひらりと白く美しい花びらが舞い落ちる。

……? 花びら?

目の前を見るとなぜか、白く美しい花が家の中庭に咲き誇っており、

その花々を優しい顔の母と穏やかな物腰の父と見ている。

この懐かしき光景は、3歳になる前の自分の記憶。

夢を見ていることをフェリシアは自覚した。

「おかあさま、おとうさま、このお花、とっても綺麗」

フェリシアが目を輝かせながら言うと、母は微笑む。

「この花はね、あなたを魔から守ってくれる花なのよ。だからこの花を常に料理に添えるといいわ」

「おかあさま、魔って?」

フェリシアがそう尋ねた直後、母の顔が曇る。

「魔は人の負の感情から生まれた孤独な邪気のかたまり。人が生み出した。だから、祓いの力を持つ私達、祓い人が浄化し清め続けなきゃならないの」

母が真剣な眼差しで答えると、父が口を開く。

「フェリシア、お前は将来、俺達と同じように最愛の人と出会い、教会で祈りを捧げ続け、力をつけるだろう」

「だからとっておきの呪文の言葉を今から教えておく」

「とっておきの呪文の言葉?」

フェリシアは首を傾げ尋ねる。

「ルシア。この白く美しい花の名。ここからお前の名も付けた。アルカディア語で勇気の光という意味だ」

「最愛の人を助けたいと思ったその時、この呪文を唱えれば救うことができるだろう」

穏やかに笑う父のその言葉を最後に、複数の白く美しい花びらが舞った――――。

* * *

フェリシアは、ふ、と目を醒ます。

(わたし……、生きてる……?)

うつ伏せのままふと目の前を見る。

するとエルバートが右手で結界を張っている姿が見えた。

「ご主人、さま?」

問いかけると、エルバートはこちらを見る。

「フェリシア、目覚めたか」

「お前を守ることが出来て、良かっ、た……」

エルバートはそう言い、地面に崩れ落ち、倒れる。

張られていた結界は消えた。

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  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   22話-4 助けてみせます。

    渦を巻いた夜空は更にうねりを増し、魔はエルバート達に向けて黒き魂の光を稲妻のように複数振りまく。エルバート達は瞬時に避け、リリーシャは剣でその光を斬ってフェリシアを守る。すると間もなくして、クランドールとディアムは祓いの力で飛び上がり、右の翼と腕、そして、左の翼と腕を剣で斬り、エルバートもまた祓いの力で飛び上がり、魔の身体の心臓に剣を刺す。そのまま深々と斬り込み、魔の心臓に亀裂が入る。エルバートは渾身の力でナナメに斬り、地面に着地した。その直後だった。魔の身体から大量の邪気が溢れ出る。エルバートはフェリシアに向かって必死に駆けて行く。「フェリシア!」「ご主人さま!」フェリシアもまた必死に駆け、手を伸ばし、エルバートも手を伸ばした瞬間、魔の邪気に呑み込まれた。* * *ひらりと白く美しい花びらが舞い落ちる。……? 花びら?目の前を見るとなぜか、白く美しい花が家の中庭に咲き誇っており、その花々を優しい顔の母と穏やかな物腰の父と見ている。この懐かしき光景は、3歳になる前の自分の記憶。夢を見ていることをフェリシアは自覚した。「おかあさま、おとうさま、このお花、とっても綺麗」フェリシアが目を輝かせながら言うと、母は微笑む。「この花はね、あなたを魔から守ってくれる花なのよ。だからこの花を常に料理に添えるといいわ」「おかあさま、魔って?」フェリシアがそう尋ねた直後、母の顔が曇る。「魔は人の負の感情から生まれた孤独な邪気のかたまり。人が生み出した。だから、祓いの力を持つ私達、祓い人が浄化し清め続けなきゃならないの」母が真剣な眼差しで答えると、父が口を開く。「フェリシア、お前は将来、俺達と同じように最愛の人と出会い、教会で祈りを捧げ続け、力をつけるだろう」「だからとっておきの呪文の言葉を今から教えておく」

  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   22話-3 助けてみせます。

    「来るぞ!」クランドールが叫んだ直後、冷たさを帯び、青く変化した大きな美しき月が出た夜空は渦を巻き、魔は、その天に巨大な闇を作り、エルバート達に向けて黒き魂の光を稲妻のように複数振りまく。クランドールの部下達は両手から祓いの力で対抗するも、一人ずつやられていき、4名全員、地面に倒れた。するとカイに続き、アベル、シルヴィオが、フェリシア達4人の前に出る。「お前達、何をやっている!」「下がれ!」エルバートとクランドールが続けて叫ぶ。「軍師長達を守るのが俺達の使命です」カイが背を向けたまま言うと、魔が新たに黒き魂の光を稲妻のように複数振りまく。カイ達3人は祓いの力を高め、カイとアベルは剣、シルヴィオは銃で対抗する。その3人の凛々しい姿を見て、フェリシアは涙ぐむ。しかし、カイから順にやられていき、アベル、シルヴィオも続けてやられ、クランドールの部下達と同じく、カイ達も地面に倒れた。そして、立っているのはフェリシア、エルバート、クランドール、ディアムの計4名となった。「これが前皇帝を亡き者とした魔の力か」クランドールがそう零すと、フェリシアは両目を見開く。「ご主人さま、もしかして、この魔は」「そうだ、お前の両親をも殺めた魔だ」その事実を聞き、フェリシアはふらつく。するとエルバートがフェリシアの体を支える。「フェリシア、大丈夫か?」「大丈夫です、驚いただけですので」(この異形で巨大な、魔神のような魔がわたしの両親を……)「フェリシア様!!」名を呼ばれ、声がする方を見ると、リリーシャが駆けてくる姿が見えた。「え、どうして……」「どうしてじゃありませんよ、もう!」「フェリシア様がいなくなった後、大騒ぎになり、ラズールがワープした事を突き止め、クォーツがワープの形跡を辿り、クォーツの力で異空間の森に

  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   22話-2 助けてみせます。

    「フェリシア!!」エルバートが再び叫ぶと、フェリシアは魔の右手に腹を握られ、地面から両足が離れる。「きゃあっ!」フェリシアは悲鳴を上げると共に、魔の顔の近くまで連れて行かれ、両足が宙に浮かんだ状態となった。心ヲ手放セ、全テ捧ゲルノダと魔の声がフェリシアの精神に響き渡る。声だけなのに、今までの魔とは比べ物にならない程の支配力。魔除けのネックレス、髪飾り、両親の形見のブローチのおかげか、なんとか、支配されずに済んでいるけれど、すぐさま呑まれてしまいそう。もっと気を強く持たなければ。「お断りします」「あなたのものにはなりません」フェリシアに拒絶された魔はフェリシアの腹を握る右手の力を徐々に強め、ギシギシとその腹を締め付けていく。「あ、あ……」フェリシアは途切れ途切れに苦しみの声を出す。「おのれ! フェリシア様を離せ!」激怒したディアムは魔に向けて叫び、剣を素早く鞘に戻すと、肩上くらいの長さの髪が一瞬揺れ動き、右の掌から光輝いた花火玉のようなものを祓いの力で出現させ、フッと息を吹きかける。その瞬間、花火玉が飛んで行き、魔の右肩に直撃し、爆発する。すると爆発の衝撃で魔は右手を放し、フェリシアは地面に落下していく。「フェリシア!」エルバートは叫び、祓いの力で素早く駆けて行き、フェリシアをお姫様抱っこで受け止める。「フェリシア、大丈夫か?」エルバートは心配そうに問う。「はい、ご主人さまこそ、ご無事で良かった」「良かった、じゃない」エルバートは怒り混じりの声でそう言い、フェリシアを地面に下ろす。「どうやってここに来た?」「アベルさんの式神でご主人さまを助けに参りました」フェリシアがそう答えると、すぐさまエルバートの冷ややかな殺気がアベルに向けられる。「エルバートにはフェリシア様が必要だと思ったんだ」「アベル、

  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   22話-1 助けてみせます。

    * * *ふと気付くと昼間の森にいた。軍服の袖を掴み、アベルの式神と一瞬でワープし、空間を飛んだのだと分かった。「無事に魔が作り出した異空間の森まで飛べて良かった」アベルはそう言い安堵すると、悲しげな瞳をフェリシアに向ける。「フェリシア様、すみません。エルバートの元まで連れて行きたかったのですが、ここまでのようです」アベルの式神の姿が徐々に薄くなっていく。「え、アベルさん、待って」フェリシアの言葉は届かず、アベルの式神は消滅した。恐らく、力を使い果たしてしまったのだろう。一人きりになってしまった。どうしよう。フェリシアの両目にふとエルバートの髪色と同じ美しい銀色のブレスレットが映る。(いつもは料理の邪魔にならないよう、左腕に付けているけれど、今日は絶対安静の為、右腕に付けたのだったわ)フェリシアは右腕のブレスレットに触れる。(誰か、ご主人さまがいる場所を教えて)フェリシアがそう強く願うと、魔除けのネックレスが光り輝き、目の前に一筋の光の道が出来た。フェリシアは思わず、目を見張る。(え、ご主人さまがいる場所を教えてくれている?)「ご主人さま、待っていて」フェリシアは、光の道を真っ直ぐ歩き出した。その後、エルバートから貰った魔除けのネックレスと髪飾り、そしてドレスに付いた両親の形見のブローチで身が守られている為か、魔に襲われることはなく、奇妙なまでに美しい花畑と湖、家のような建物を越えていく。そのまましばらく歩き、草原に足を踏み入れ、更に先へと進み――、やがて軍らしき人影と神樹が見えた。(きっとご主人さまの軍だわ)フェリシアは駆け足で進む。そして神樹がある場所に到着すると、なぜか夜になっていた。(あ、ご主人さま、見つけた――――)「ご主人さま!」そう涙ぐみながら名を呼ぶと、エルバートがこちらを見る。

  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   21話-2 命を懸けて、ご主人さまの元へ。

    その瞬間、エルバートは左肩を斬られ、ディアムの自分の名を呼ぶ悲痛な声が響き渡ると共に地面に崩れ落ちる。右手からルークス皇帝より託された剣が放れ、銀の長髪を一つにくくる麻紐がほどけ、長髪が流れた。すると左肩から魔の一部が入り込み、心ヲ手放セと魔の声がエルバートの精神に響き渡る。このまま乗っ取られ、果てる訳にはいかない。「手放すものか」エルバートはそう言い、精神支配を祓いの力でなんとか食い止め、抗い、魔を体から排除し、剣の柄を再び右手で握り、立ち上がる。亡き前皇帝の無念を晴らし、フェリシアの元に必ず帰る。そして、(私はフェリシアに想いを告げる)* * *ブラン公爵邸の部屋のベットで横たわるフェリシアは、はっとしてベットから上半身を起き上がらせる。なんだろう、胸騒ぎがする。(昨日倒れたせいで、リリーシャさんにはガミガミと叱られ、ラズールさんには部屋で絶対安静だと、教会に通うのを禁じられ、教会にはもう行けなくなってしまった……)けれど祈ることはここでも出来る。フェリシアはエルバートの無事を祈る。すると、バンッ! 物凄い音が窓から聞こえた。(え、何!?)フェリシアはベットから降り、恐る恐る窓に近づいて行き、カーテンを開ける。軍服姿の優しそうな青年が浮かんでいた。その青年はアベルに瓜二つで、フェリシアは驚く。(アベルさん……? でも、ここにいるはずは……)そう疑問を抱くも、アベルの口の動きで、アベルの式神だと名乗った事が分かり、ここまで飛んできたのだと理解したフェリシアは窓を開ける。するとアベルが中に入って来た。「フェリシア様、急ぎ伝えたく飛んできました」「エルバート

  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   21話-1 命を懸けて、ご主人さまの元へ。

    「エルバート様が助けに来てくださった!」「よかった! よかった!」「一ヵ月以上前からずっとここで生活してたけど、やっとやっと帰れる」三つ編みを一つに束ねた少女に続いて少女達が言い、少女達全員涙ぐむ。「いつの間に救世主になったんですか? 軍師長はどこでもモテモテですねー」「この浮気者」カイとシルヴィオがそう言い、エルバートは殺気をふたりに送る。するとふたりは黙り、ディアムが苦笑いする。(一ヵ月以上前となると、ルークス皇帝が魔の姿を見かけたとの情報が入ったと私に魔祓いの任務が下った時にはすでに神隠しに合っていた可能性が高いな)「魔の姿は見かけたか?」エルバートが更に問うと、魔はこの先の世界を統べる神樹(しんじゅ)がある場所にいると聞き、エルバートはグランドール達と共に歩みを進める。その後、しばらくして草原に足を踏み入れ、神樹がある場所に到着すると、先程まで昼間だったのに、なぜか夜になっていた。この場所はどうやら時間の経ち方が違うらしい。そう思った時だった。今までに感じたことのない邪悪な気配を再び感じる。エルバート達の身体が強張り、動きを封じられ、神樹から魔の影が見えた次の瞬間、目の前に姿を現した。白髪が肩に少しかかった色白で整った顔立ちのまるで人の青年のようなアンデットの魔。フェリシアより2、3歳下といったところか。魔は夜空の大きな月を見上げる。すると魔の背丈が徐々に伸びていき、巨大化していく。周りの星々は消滅していき、大きな美しき月は冷たさを帯びて青く変化し、魔の身体は透けていき、黒き模様が描かれ、両眼は青黒い光で満たされ、邪気で出来た両翼が背から伸び、広がる。その異形な姿はまるで、世界を統べる魔神のようだ。これが前皇帝を殺めた魔の本来の姿か。魔はエルバート達の動きの封じを解き、流星群のように魂の炎を放つ。

  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   20話-2 神隠し。

    そのまま森の奥の湖を超え、やがてクランドールの軍と共に静かな鬱蒼とした場所へ到着する。そこでは、第3部隊、第4部隊が人影のような異形なアンデットの魔と戦っており、半分以上がやられ、魔の浄化は苦戦を強いていた。「第3部隊、第4部隊、下がれ!」「第1部隊、第2部隊、前に出ろ!」クランドールが命じ、第3部隊、第4部隊は下がり、 クランドールとエルバートの軍が前に出る。そしてクランドールは騎乗したまま鞘から剣を抜き、剣先を魔へと向ける。「第1部隊、第2部隊、戦闘開始!」クランドールが叫ぶと同時にエルバートも鞘から剣を抜き、 軍の皆と共に浄化し始め――、間もなくして、エルバートが最後の魔を美しく斬る。その直後、雪が止み、今までに感じたことのない邪悪な気配にエルバートの身体が強張り、太い生い茂った木々の間から魔の影が見えた。そして人の青年のようなアンデットの魔がエルバート達の前に姿を現した瞬間、魔は霧で森全体を覆い隠した。* * *やがて、霧が晴れる。周りを見渡すと、昼間の森となっていた。それだけではなく、エルバート、ディアム、アベル、カイ、シルヴィオ、 クランドール、その部下4名以外、馬共々、忽然(こつぜん)と姿を消していた。魔が作り出した異空間の森に飛ばされ、入り込んだか。まさか、このような一瞬で魔の神隠しに合うとは。「お前達と逸(はぐ)れなかっただけ幸いだな」「これより、エルバートと共に先に進む。皆の者は後に付いて来い」「ではエルバート、行くぞ」「はっ」エルバートはクランドールにそう返し、クランドールと共に先に進んでいく。……?人の気配が濃くなって来ている?そう思った時だった。クランドールがふと足を止め、エルバート達も止まる。「邪気の結界のようなもので先を封じられている」

  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   20話-1 神隠し。

    * * *フェリシアはゆっくりと目を開けると光を感じた。屋根裏部屋のような天井が見え、何か柔らかいものの上に横たわっているよう。「フェリシア様!」「クォーツさん……?」問いかけると、クォーツは胸を撫で下ろす。「記憶もあるようですね、良かった……目覚められなかったらどうしようかと」「申し訳……ありません……」謝った後、倒れた自分を抱え、シスターに自室まで案内してもらい、運び寝かせたこと、そして司祭を呼び、祈りを捧げ体を診てもらったところ、疲れが溜まり倒れたという診断に至り、午後まで眠っていたことを聞き、恐縮した。フェリシアはクォーツに手伝ってもらい、起き上がる。そしてふとドレスに付いている両親の形見であるブローチを見ると驚く。(ご主人さまになおして頂いてから付けているけれど、鮮やかなブルーの光が更に増しているような……?)フェリシアはブローチに触れる。その瞬間、痛みのようなものを感じた。「フェリシア様、大丈夫ですか?」クォーツが心配げに尋ねる。体の不調のせいか、あるいは何かの知らせか、痛みの理由はよく分からない。ただ、痛みを感じたことで、もう一人の自分を抱き締めたのはやはり夢だったのだと悟った。けれど、これだけは言える。フェリシアはクォーツに微笑み返す。「はい、大丈夫です。ご主人さまのおかげで強くなれたので」* * *それから戦いに異変が起きたのは翌日の早朝のことだった。「軍師長、大変です!」エルバートのテントにカイが声を上げ、駆け入る。「カイ、どうした?」「第3部隊、第4部隊の半分が魔にやられたようです!」エルバートの表情が陰る。やはり、順調にはいかな

  • 一通の手紙から始まる花嫁物語。   19話-2 あなたがいたから。 

    フェリシアが臆すると、クォーツは背負う弓矢を手に取り、フェリシアの前に出る。「フェリシア様、私の後ろから決して離れないで下さいね」「は、はい」クォーツは祓いの力を使い、弓から矢を放つ。魔は撃ち抜かれ、光と共に消え、クォーツの一つに束ねた三つ編みの髪が微かに揺れる。「フェリシア様、顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」振り返ったクォーツが心配そうに尋ねる。「はい、少し驚いただけですので……」「そうですか。浄化致しましたが、油断出来ません。教会に急ぎましょう」「はい」その後、フェリシアはクォーツと共にいつも通り緩い坂を上がって教会まで行き、教会の祭壇の前に跪くと、エルバートの無事を強く祈る。(どうか、今日も、ご主人さまの命をお守りください)そう祈り終わった直後。フェリシアはくらっとし、体が傾き、そのまま床に倒れていく。そして床に体がつき倒れ、クォーツが自分の名を呼ぶ声が聞こえたのを最後に意識を失った。* * *ふと目を覚ますと、何故か教会の前にいた。そして扉前にショートベールを被り、純白な格好をさせられた同じ背丈のもう一人の自分が立っている。4歳の時に伯母に連れて行かれたボロ家の近くにあるゴシック様式の美しい教会に、もう一人の自分の存在とその格好で、夢を見ているのだと気づいた。エルバートでも両親でもなく、夢に出てきたのは避けていたもう一人の自分。魔を祓う力がないこと、そして、自分は神に見放された“いらない子”なのだと嫌でも思い知るから、ずっと向き合うのが怖かった。けれど、月の光が、(ご主人さまが、背中を押してくれている)(月がわたしを強くする)フェリシアは歩み出す。するともう一人の自分が、フェリシアを目掛けて祈りの邪気を放つ。

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